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「なぁ………みぃ」
「どないしたんっ?!」
学校帰り、電車の中で吊革に掴まり隣に並んだハルが、落ち込んだ声で話しかけてくる
いっつもおちゃらけてるハルがそんな声を出すのは珍しく、ビックリしてグリンって音がするぐらいの勢いで隣を見上げた
「誰か紹介してやぁ~」
情けない声を上げるハル
「はぁっ?何言うてんの、アンタ。昨日の昼間、レーナのことが好きって言うてたやん!」
「ちゃうわ!あれはただ、気になってるって言うただけやん!」
「気になってるって…。そんな簡単にコロコロ変わるようなん、気になってるって言わんし!そもそも、そんないい加減なヤツに紹介なんか出来へんわ!」
実は、今日の昼休み―――
お昼を食べ終わり、トイレを済ませ廊下に出てきたところで、ハルがレーナを呼び出してるのをたまたま目撃した
何もしてないのに悪いことをしてるようで、ついトイレの陰に隠れながら見守っていると、そのまま2人は階段の方へと姿を消してしまったから、それ以上のことは知らない
でも、今のハルの状況を見る限り、ハルにとってよくないことがあったんやと…嫌でも分かる
「レーナに…フラれたんか?」
視界の端で、吊革を持つ左手がピクッと動いた
「………そーゆーことかぁ~」
好きちゃうって、今言うたトコやん…
嘘つき
いっつも教室に迎えに来てくれるのに、今日来ーへんかったのは、レーナと会うのが気まずかったから?
ダルそうにしててもいっつもちゃんと返してくれるのに、何の話してもスルーしたんは失恋したから?
ズキズキと痛む心臓
こんなにも近いのに、今のこの関係が壊れるんが怖くて、自分の想いが伝えられへん
こんなにも近くに自分(晴翔)のことを想ってる人間が居るんやで!
そう叫びたくて堪らない
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