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沸いたお湯をカップに流し入れ、慎ちゃんのにはミルク、あたしのには砂糖とミルクを淹れ、カウンターから差し出した
おもむろにソファを立ち、カップを受け取りに来る慎ちゃん
そののんびりとした仕草は、レーナを思い出させる
慎ちゃんも生粋の大阪人やのに、動作が緩慢で時間の流れがゆっくり
イメージだけで言うと、京都人…みたいな
あたしやハルみたいにガチャガチャしてへんから、そーゆー大人な雰囲気には憧れてたりして…
「ありがと」
「どーいたしまして。何か食べる?」
「んーん、家で食ってきたからえーよ。ありがと」
お互いソファに腰を下ろし、向き合って座る
こうやって2人きりになる機会がないから、どんな話したらいいんかとか、どんな顔して向き合えばいいんかとか…何にも思いつかへん
「あんな…」
「え、あ………。ん?」
「みやちゃんさ…、好きな人…居る?」
突然の言葉に、口に含んだコーヒーが鼻から出そうになる
何とかそれは免れたものの、気管に入ってしまいむせ込んだ
「いける(大丈夫)?」
「ん…げほっ、な…何とか…」
眉を八の字にして切なそうにあたしを見る慎ちゃんから、思わず視線を逸らした
「好きな人…、居るん…やろ」
断言されてしまう
「ん…まぁ…。居るには…居るけど………」
「そっか…」
誰とは聞いてこない
「みやちゃん」
「ん?」
「俺な………。ちっさい頃からずっと…みやちゃんのこと好きやで?」
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