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「あっ!ちゃうで!今のはちゃうからなっ!」
「は?」
いきなりグリンと首を回し、両手を振るハル
何のことなんか、さっぱり意味が分からん
「今、『好き』って言(ゆ)ったやろ?あれは『みぃが作るお菓子』のことやからな!」
「………話の流れ的にそうやろ…」
そんなん言われんでも分かってるけど、そんだけ否定されると虚しいにも程があるわ…
すぐ隣に肩を並べて歩く、あたしとハルとの心の距離…
一体、どんだけ離れてるんやろ…
「んじゃ、気ぃ付けて帰りや」
家の前に着き、門扉に手を掛けながら振り返って笑顔を見せる
学校から電車に乗って、駅から徒歩5分がハルの家
あたしの家は、ここからさらに5分
同じ自治会だったあたし達
少し距離はあるけど、幼馴染みの関係はずっと変わらんまま
「へーき、へーき」
「ま、自分(都)襲うヤツなんか居らんやろうけどな」
あははと笑い飛ばされ、思わずムッとする
「これでも、ナンパされたこととかあるんやからねっ!」
実際は、お金出すからホテル行こうとか言う変なオッチャンに絡まれただけやけど…
「へーっ。あ、そ。ま、えーわ。んじゃ、また明日な」
「う、うん…。バイバイ」
サラッと流された!
しかも、聞くだけ聞いてサッサと向き変えたし!
不機嫌になる気持ちを抑え、自分家(ち)へと歩きだす
背後を振り返ることもなく―――
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