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「それだけ。んじゃな!」
走り去ろうとするハルの姿を見送ろうと玄関先に出ると、背中を向けていたハルが急に振り返った
「どーしたん?」
「………あのさ」
「ん?」
「連絡先教えてや」
視線を逸らしたままポケットからケータイを出してきたハルの動作がなぜか可愛くて、フッと笑みがこぼれる
「えーよ。ちょっと待っててな」
慌てて部屋に戻り、ケータイ片手に玄関に飛び出した
「めっちゃ早いな」
そりゃ、好きな人待たせてたら早くもなるわ
「だって…ハル、待たせてるもん」
ちょっとだけ…
ほんのちょっとだけやけど…
可愛い返事が出来たかな?
「何やそれ!何の気遣いなん?!気色悪っ!明日、吹雪なるんちゃうか」
ケラケラ笑うハルにグーパンチをお見舞いすると、『そっちの方がみぃらしい』と言われる始末
連絡先を交換すると、『寒いから帰る』とアッサリ帰ってしまった
うちに上がってくれてもよかってんけどな…
名残惜しく思ってんのは、あたしだけ…やんね?
「ハルのアホ―――ッ…」
ベッドにダイブして枕に顔を埋(うず)め、消えそうな声でそう呟いた
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