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「なぁ…。慎ちゃん、彼女居らんの?」
「居らんけど…何?」
「じゃあ…今日の夜、出掛けたりせーへんねんや?」
「そーゆーハルはどないなん?」
「う゛っ…。慎ちゃんに居らんで俺に居るわけないやろ」
「そんなん分からんし」
内容が気になるから、少し遠くで聞こえる会話に全力で注意を傾ける
2人はソファに座って談笑中
「ちょお、ハル~!手伝いに来たんちゃうん?」
「あ、そや」
「何?何かするん?」
慌てて立ち上がるハルに、ゆっくりと視線を上げる慎ちゃん
「ケーキ作ってくれるんやって」
「へぇ…。そーなんや…」
う゛…
何か慎ちゃんの視線が………
怖いわけちゃうけど、何か寂しげな感じがこれまた…
居た堪れなくなってどこかへ逃げ出したくなる
「慎ちゃんも食べる?」
「えーの?」
切なげな表情をするので、黙って何回も頷いた
パッと明るくなる慎ちゃんの顔を見て、罪悪感というか…ちゃんと返事してない自分の曖昧な態度に、申し訳なさを感じる
「その代わり、慎ちゃんも手伝ってな」
「食べさせてもらえるんやから、それぐらい」
ニコッと笑う慎ちゃんを見て、胸が締め付けられた
こんなに優しい慎ちゃんを好きになれたら、どれだけ楽なんやろ…
それに引き替え………
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