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「何か………嵐みたいやったな」
ヘラや泡立て器を洗っていると、カウンターの向こう側からそれを眺めるハルがポツリと呟く
「そうやね…」
結局、慎ちゃんにちゃんと返事してへんわ…
そんなことを考えていると
「なぁ…」
というハルの声
「何?」
食器から顔を上げると、見たこともないほど真剣な表情をしてあたしを見るハルと目が合った
「ど、し…たん?」
「自分の好きな人ってさ…。誰なん?」
射抜くような鋭い視線
「そんなん…聞いてどないするん…」
自分の心臓が、さっきからドキドキうるさい
「いや………別に…。毎日一緒に居るのに、そんなん全然気付かんかったから」
全部の道具を洗い終わりお湯を止めると、室内に響くのはエアコンの音だけ
「………自分で考えたら」
「はぁ?何で俺が考えなアカンの?分からんから聞いてるんやろ」
普通、そのセリフで気付けよ…
鈍感にも程があるやろ…
思わず溜息が出る
「じゃあ、ヒント!」
「………同じ学校」
「うちの学校?!誰や?同じ学年か?同じクラスのヤツ?何やねん!同じ学校って、めっちゃ居るやん」
頭を抱え、のけ反るハルの姿がおかしくて、つい吹き出してしまった
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