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「ただいま~」
鍵を開け、家の中へ入る
といっても、共働きやし一人っ子やから、誰も返事してくれへんけどね
だから―――
「おかえり~」
って奥から声が聞こえ、体が竦(すく)んだ
だっ、誰っ?!
嘘…誰か居る!!!
しばらくその場で固まったまま動けず
奥の方からヒョイッと顔を覗かせた瞬間、『ひっ!』と短い悲鳴が喉の奥で鳴った
「何やってんの?そんなトコ突っ立って…」
覗いてたのは、藤本 慎之介(ふじもと しんのすけ)
あたしやハルの1こ上で、これまたうちのご近所さん
両手を泡まみれにしながらパタパタとスリッパの音を鳴らし、あたしの前までやって来る
「早よ入りや」
「う…うん………」
「変なヤツ…」
首を傾げ、奥へ引き返そうと方向転換をする慎ちゃん
「し、慎ちゃんっ!」
「何~?」
「家(うち)で…何やってんの?」
「何って、弁当箱洗わせてもらってた」
ふ~ん
………って!
「そーゆー意味ちゃうしっ!何で家に居んの?!」
しかも、勝手にうちの家上り込んでるくせに、早よ入れってどーゆーことなん?!
「何でって…おばちゃんに許可もらってんで?」
「お母さんが?何で…」
突如出てきたお母さんの名前
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