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「へ………。え?」
その左手とハルの顔を見比べる
「要らんのか?」
口をへの字に曲げそっぽを向くハルが妙に可愛くて、その手に自分の右手をパーの状態で乗せた
ギュッと握り締めると、同じ強さで握り返してくれる
「来年は………2人で祝おうな」
ボソッと呟いてみた
「出来るかぁ~?」
2人でソファの方に視線を向けると、ソファの背もたれ部分に手を掛け、こっちに振り向いて手招きをするお母さんと目が合う
「………無理…かな」
お互い、顔を見合わせ笑った
「そんなトコ居らんと、早よこっちおいでや」
痺れを切らしたお母さんにそう言われ、繋いだ手を背後に隠して皆のトコに歩いて行く
「来年は、とりあえず朝から一緒に出掛けよ」
「え?」
「そしたら2人で居れるやろ」
突然の言葉に疑問形で返事をすると、真っ赤な顔でフイと反対側を向くハル
顔を覗き込もうと身を乗り出すと、余計に顔を逸らす
それが面白くて上体を捻って覗き込んだら、後ろで繋いだ手をギュッと引っ張られ、自分の意思とは反対にのけ反ってしまった
「何なんよ、ケチ」
「んじゃ、もう繋いだれへん」
「えっ!あ…ちょお!」
パッと手を離されたから、さっきみたいに隠しながら…とかそんな余裕もなく、慌てて握り締める
「あ!2人、手ぇ繋いでる~」
手を繋ぐことにだけ意識が行ってたから、皆の前ということも忘れてた
ニヤニヤと笑い楽しそうにあたし達を指すお母さんは、お酒が弱いからもう顔が真っ赤
「ちょ…。いいやん、別に…」
ソファの背もたれに顎を乗せ、トロンとした目をしているお母さんの肩を押す
「晴翔く~ん」
「はい?」
「都のこと、ヨロシク~」
制止するお父さんの手を払いのけ、楽しそうに微笑むお母さんにあたし達は顔を見合わせ吹き出した
「まだ、そんなんちゃうし」
「これから…やんな?」
ハルの一言に頷く
そう
ハルに好きになってもらわなアカンもん
「まだまだこれから…やもんね」
~Fin~
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