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―◇響子◇―
「ふう……」
私は電話を切ると、ちいさく溜め息を吐いた。
透が腹痛になってしまったのは、完全に私のミスだ。
こんな派手な症状が出たら、下手をすればバレてしまうと言うのに。
ゆっくりゆっくり、段々と身体を弱らせてやるくらいの分量を心がけていたが、相手が子供だとやはり難しい。
別の手を考えなくてはならないだろう。
「全く……邪魔なガキよね」
私は誰にも聞こえないようにつぶやいて、舌打ちをする。
私があの人と幸せな生活を送るためには、どうしても透を排除しなくてはならない。
別の女との愛の結晶など、壊さなければならないのだ。
絶対に、絶対に……
コロシテヤル……
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