92人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、そういえばお茶も出さず……すみません、すぐ用意します」
「あ、いいんですよ。お構いなく」
私の制止も聞かず、キッチンへと走る彼。
予想通りの行動だった。彼がこういう人であるのは分かっている。
私は、彼がいない内に、透の身体を密かに揺すって、目覚めを導く。
優しく、優しく、まるで透を愛するあの人のように……
「ん……パパ……? どうし……」
辛そうに瞳を開けた透が、私の存在に気づく。
「おはよう、透ちゃん?」
その瞬間、透の幼い顔は恐怖に彩られた。
最初のコメントを投稿しよう!