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「透君はさあ。ママと妹を殺したくせに、何で一人だけ生きてるのかなあ?」
「あ……う……」
透の手を掴む私の指に力がこもる。
離そうともがく透をしっかりと掴まえると、私はまたゆっくりと、透を追い詰める言葉を放った。
「パパだってね。迷惑してるのよ? 透君の前じゃ優しいパパかも知れないけどね、私には何回も文句を言ってるの。透が邪魔だ……透が憎い……ってね?」
「う、嘘だよ! パパは……パパは……」
「だって透君。パパが大好きなママを殺したんだよ? 嫌われてもおかしくないでしょ? あの人が透君を育ててる理由は、一応、家族だからっていう立場だけなの。本当は、あなたのことが邪魔で仕方ないのよ?」
「嘘だ……嘘だ……」
「嘘じゃないわ。あと、これはパパに話したらダメよ? 自分でどうするか、考えなさい?」
そう告げて、透から離れた瞬間に、彼が茶菓子を持って戻ってくる。
私はいつものように、最高の笑顔で彼を迎えた。
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