ショー・ガール

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拝啓、響子様。 あなたは同封されている写真をご覧になりましたでしょうか? まだ見ていないのなら、今すぐに見てください。でないと話になりません。 あの写真をご覧になったあなたは、どんな表情をしているのでしょうか? 怯え、うろたえ、辺りをキョロキョロと見回しているかも知れません。 そしてそんなあなたを、私はリアルタイムで眺めているのでしょう。 それを考えるだけで、手紙を書く手も踊るというものです。 さて、お察しの通り、私はあなたのストーカーです。 私には自覚があります。自分のしていることが何かも分からない勘違いストーカーなどとは違います。 私はあなたに憧れ、あなたを盗撮し、それを見て自分の性的欲求を満たしている、正真正銘のストーカーなんですよ。自分で言うのもおかしいのですがね。 私は今まで、こうしてあなたを遠くから眺めるだけで満足していました。 しかし、ある日を境に、それは変わってしまったのです。 そう、あなたが娘を殺害した日ですよ。 いつも温厚なあなたが、娘の首を絞めている時に見せた、あの憎悪と狂気に満ちた表情。 それを見た私は、何故だか今までで一番興奮したのです。 今まで、どんな姿のあなたを見ても、ここまでの興奮は味わえませんでした。 もっと色々なあなたを見たい。 あなたを私の思い通りに操ってしまいたい。 私はそう思うようになったのです。 では、本題です。 同封した写真にもあるように、私はあなたの弱みを握っています。それも人生を狂わせかねない、重大な弱みを。 これをバラされたくなければ、あなたは私の言うとおりにして下さい。 別に誰かを殺せとか言うのではありません。 あなたの色々な姿を、私のこの目に焼き付けたいだけなのですよ。 私はいつでもあなたを見ています。 あなたは今いる部屋で、私の指示通りに動いてくれればそれでいいのです。 大丈夫、あなたに直接危害は加えません。 一生、私専属のショーガールでいてくれるのならば、私はそれだけで満足です。 あなたに選択権はありません。 どうぞ、私の前で美しく舞って下さい。 指示は追って連絡します。 永久に続くショーを、楽しみましょう。 敬具
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