ショー・ガール

6/6
前へ
/35ページ
次へ
ストーカー男の目的は、あくまで私を監視して、おおかたシャワー後の姿や着替えなどを覗き、自分の性的欲求を満たすことだったのだろう。 そしておそらくは、私に清楚なイメージを抱いていたに違いない。 だからこそ、娘を殺害する私の姿に、普段と違う興奮を覚え、こんな手紙を送ってきたのだ。 見ているだけなら、私も気づかなかったかも知れない。 しかし、ストーカー男は、我慢できずに私に自分の存在をアピールしてしまった。 その時点で、男はもう私の網の中にいるのだ。 既に手紙を出して、私の反応を楽しんでいる男が、これから私を監視し続けて、我慢できるはずがない。 匂い立つ果実は、誘い出して食らいつかせるためのものなのだ。 さあ、踊ってあげましょう。 あなただけのために。 あなたが私に触れたくなるまで。 ――あなたの命が潰えるまで。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加