天国と地獄

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「ごめんなさい。急に思いついたものですから、大した店も用意できなくて……」 「いえ、充分ですわ」 窓から煌びやかな星が見える夜。 森さんに誘われてきた場所は、近くにあるホテルのレストランだった。 「さすがに、ファミリーレストランはないと思ったので、今から予約できるところを探したんですよ。いや、ちょうど見つかって良かった」 「そんなお気になさらなくてもいいのに……私でしたら、ファミレスでも牛丼屋でも大丈夫ですわ」 「いえ、今日は大事な話がしたかったので……」 「そうですか……透君は?」 「今日は、母親に預かってもらってます。だから、今夜はフリーです」 そう言って、彼が意味深に笑う。 その意味を想像し、私は期待に胸を高鳴らせた。
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