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「シャワー、お先にどうぞ?」
「ああ、それじゃお先に」
美味しい料理とお酒にほどよく酔った後、私達はホテルの一室で身を寄せ合った。
先にシャワーを浴びている彼を待つ私の胸は、大きく高鳴っていた。
オシャレなレストランで彼から告白され、その日の内に身体を重ねて愛し合う。
女なら誰もが憧れるであろう幸せの渦中に、今私はいる。
あとは、透さえいなくなれば、私の人生は限りない幸福で満たされるだろう。
一瞬、忌々しく浮かんだ顔を振り払い、彼の入った浴室に視線を移す。
こんなもどかしく、そして心地いい時を過ごすのは、生まれて初めてだった。
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