目には目を。ストーカーにはストーカーを。

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  「おや、久しぶりですね。響子さん?」 入り口で名前を言えば、すぐに奥の部屋へと通される。 何やら薄気味悪い絵や真っ赤な絨毯などで飾り付けられた部屋にいる、白装束を着た初老の男は、青池陽明(あおいけようめい)。 天明真教という宗教の教祖だ。 「今日は、あなたにお願いがあって来たのよ。私の友達を一人、ここの信者にして欲しいの」 私の言葉を聞くと、青池はにぃっと薄気味悪い笑みを浮かべた。 「おや、何を企んでいるのですかね? 私の力がまやかしだと、あなたはとうの昔に知っているはずではないですか?」 「知ってるわ。でも、あの人には救いが必要なのよ。まやかしでも何でも、ね」 そう言って、私はある人物の写真を彼に見せる。 「この人を、お願いするわ。途中までは私が手引きするから、きっちり教育してね?」 「……分かりました。最高の〝教育〟を致しましょう」 彼の返事に、私は満面の笑みを浮かべて頷いた。
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