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「ごめんなさいね。実は、今からあなたに会えないかなって思って」
「申し訳ないんですけど、私忙しいので」
私の話をぶしつけに断る七瀬さん。
ここまでの反応は予想通り。
「あら、そうなの? どうしても聞いてもらいたい話があるのよ。八尾君のことなんだけど……」
「……樹の?」
「ええ、彼のことを誰よりも理解しているあなたにしか話せないことなの。どうにかして、時間を作れないかしら?」
私の言葉に、暫しの沈黙が流れる。
やがて、電話越しにも動揺が分かる声で彼女から返事が返ってきた。
「……分かりました。どちらに向かえばいいですか?」
「紅葉駅前にファムっていう喫茶店があるの。そこでどうかしら」
「分かりました。すぐに向かいます」
言葉と同時に電話が切られる。
さて、ここからが私の腕の見せどころよ。
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