真実の愛

25/29
前へ
/29ページ
次へ
「な、なんのつもりだよ! 来るな、ケーサツ呼ぶぞ!」 「ちょっと樹、なんなのよこの女! 信じらんない、何とかしてよ、マジで!」 私の知らない女が、樹に裸でしがみついている。 ふざけないで、樹と呼んでいいのは私だけ。 樹に愛される資格があるのは私だけ。 私だけなのよ! 「お前だな……? 樹を汚した悪魔はお前だな!!」 「いや、来ないで、許してえ!」 私が近づくと、涙目で命乞いを始める。 なるほど、認めたのね? 自分が悪魔だって。 「悪魔は死ね、悪魔は死ね、死ね、死ね、死ね!」 「やだ、やだやだやだやだやだやだやだやだああああああ!」 叫ぶ女の不浄な身体に、ナイフを突き刺す。 汚れきった血液が、辺り一面に飛び散った。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加