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森さんの父親が警察官だったということは知っていたが、まさかあの男の息子だったなんて。
私を陵辱し、甘い初恋を恐怖の記憶で塗りつぶしたあの男。
私が初めてこの手で殺した男。
それが、最愛の人の父親だった。
私は、許せるのだろうか。
純粋だった私を裏切り、傷つけたあの男を。
彼は許してくれるのだろうか。
自らの父親を狂わせ、身体を重ね、そして殺した女を。
頭の中がぐるぐる回って止まらない。
猛烈な吐き気に、何度も襲われる。
やはり私は、神様とやらにとことん嫌われているらしい。
全て投げ出したくなるような圧倒的絶望の中で、無力な私はただただ、頭を抱えてうずくまるしかなかった。
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