秘められた因縁

4/34
前へ
/34ページ
次へ
「森さん……!」 私の家の前に立っていたのは、愛しい森さん。 彼は少し真剣な表情で私を見ると、ゆっくりと口を開いた。 「響子さん、大丈夫ですか? 実は、八尾君と七瀬さんが……」 「あの二人がどうかしたんですか……?」 彼の言葉に、私は知らん振りをしてとぼけて見せる。 疑いをかけられることは無いだろうが、そのくらいの演技はしておいていいだろう。 案の定、森さんは真剣な表情を崩さずに、深呼吸をする。 会社の人間が二人死んだと聞き、真っ先に恋人である私の所へ飛んできてくれたのだろう。 この何気ない行動が、私には大きな喜びだった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加