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猛スピードで走る車の群れを、僕は眺めていた。
これが僕の見る最後の景色になると思うと、ほんの少しだけためらいたくなる。
でも、僕はもうこんな現実には耐えられない。
ママだってきっと、僕を待ってる。
仇は討てなかったけど、許してね。
また僕を抱きしめてね……。
今度こそ、いいお兄ちゃんになるからね……。
目を閉じて、深呼吸を一つ。
排気ガスの臭いが、僕の胸の中を満たす。
――もう、迷わない。
僕はしっかりと目を開き、走り抜ける車の群の中に飛び込んだ。
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