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「ちょっと待っててね」
そう言って、奈々美お姉ちゃんが、部屋に戻る。
数分後、彼女は手に分厚い本を持って戻ってきた。
「これ、人の心理とか精神とか、そういうものについて詳しく書いてある本なの。昔、樹にストーカー扱いされて、その時に突きつけられた本なんだけどね、失礼しちゃうわ」
ぶつくさと文句を言いながら、奈々美お姉ちゃんが本を開く。
そこには、さっき奈々美お姉ちゃんが放ったギフテッドという言葉が記されていた。
「ギフテッドって言うのはね、先天的に人より顕著に高い能力を持っている人のことなの。要するに、天才児ってこと」
「天才……僕が? そんな……」
奈々美お姉ちゃんの言葉に、僕は首を振る。
しかし奈々美お姉ちゃんは、そんな僕の言葉をあっさりと否定した。
「ううん。きっと透君は、このギフテッドで間違いないと思うな。だって、思い当たる節ありすぎだもん」
そう言って、奈々美お姉ちゃんが本を指し示しながら、ゆっくりと諭すように説明を始めた。
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