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―◇香澄◇―
無機質なリノリウムの部屋で、私は一人、最期の時を待っていた。
心から愛した女性は、結局私を見てはくれなかったのだ。
期待させるだけさせておいて、どん底に突き落とすなんて、響子は全く性格が悪いわよね。
身体は、既に固定されていて動かない。
私はここで身体をバラバラにされて、まるでスーパーマーケットの食材のように量り売りされるのだろう。
それなら、もうそれでいい。
全ての夢も希望も失った私には、もう生きている理由なんて無いのだから。
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