進展

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そう、もしかすると、俺への依頼は、稲垣香澄が同性愛者なのかどうかをきちんと調べるという意図があったのかも知れない。 何を調査するのか詳しく述べずに、素行調査だけというのも、そもそもおかしな話なのだ。 もし、顕著に同性愛者の癖が現れれば、俺は勿論報告する。 響子はそれを待っているのかも知れない。 だが…… それだけのことを、探偵まで雇って調べるだろうか? そんなことは、響子本人でも何とかできそうな話ではある。 ――まだ……まだ裏があるかも知れない。 タバコをくゆらせながら、俺は響子の悪魔の笑みを思い出していた。
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