46人が本棚に入れています
本棚に追加
「依頼させていただいてよろしいかしら?」
「あ、ああ。どうぞ」
つい呆然としてしまった俺を催促するように、彼女が話しかけてくる。
俺は慌てて事務所内に彼女を通すと、まずはその依頼に耳を傾けることにした。
「本日はどのようなご依頼で?」
彼女を椅子に座らせ、事務的な言葉をかける。
それにしても、驚いた。
偶然とはいえ、矢部響子がうちの事務所を訪れるなんて。
しかし、これは大きなチャンスだ。
この女が何を調べたいのかという情報は非常に大事なものだと思うし、自然に近づける口実も出来た。
透君の事件の調査も、一気に進展するだろう。
俺は、自らの鼓動が早くなるのを感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!