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「ええ、大丈夫ですよ。こちらは全てが上手くいってます。あなたの方は、何か変わったことはありませんでしたか?」
受話器の先に居る響子に向かって、問いを放つ。
あの探偵を殺してから、一夜が明けた。
奴があの女を調べていたという痕跡は全て消し去ってある。
警察も誰彼構わず家宅捜査というわけにはいかないだろうし、とりあえず響子の身は安全だろう。
勿論、俺が殺したという証拠など残さぬよう、全ての痕跡は消し去った。
しかし、最近の警察は侮れない。
あんな突発的な犯行だ。もしかすると何か俺も気付かなかったような細かい証拠から俺を探り当てられてしまうかもしれない。
しかし、それですら今の俺にはどうでも良いことのように思える。
そう、俺にはあと僅かな時間があればいい。
子供を一人殺すだけの、僅かな時間が。
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