終息への集束

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  ※※※ 「あら、早いじゃない。まだ約束の時間まで間があるのに」 響子がレストランに現れたのは、待ち合わせをした時間の五分前だった。 既に席に腰掛けていた俺に、まるで試すかのような言葉を投げかけてくる。 その言葉に、俺は自信満々で答えた。 「女を待たせるのは御法度だと、お前に教わったんじゃないか。人の信用は失うのは簡単だが取り戻すのは難しい。こんなつまらないことで信用や好感を下げるのは大きな損失だとな」 「それもそうだったわね。覚えててくれたんだ、嬉しいわ」 リンゴのように真っ赤な唇が、優雅に弧を描く。 気品すら漂う優美な大人っぽさと、小悪魔のようないたずらな子供っぽさ。 響子は、相手によって自分をどう見せるのが一番得であるか、常に考えているのだろう。 だからこそ、この不思議な魅力が備わったのだ。 「さて、せっかくだから乾杯といこうか」 「そうね。天明教の繁栄を祝って乾杯! で、いいかしら?」 屈託無く笑う響子は、やはり何者よりも美しくて。 まるで俺の本心全てを見透かしているかのような視線に戸惑いながら、俺も本当の目的に向かって話を進めた。
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