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「お前だって、俺と出会う前に俺の過去を探っていたようじゃないか。お互い様だろう?」
俺の言葉に、響子は黙したまま語ろうとしない。
聞く耳を持たず、と言ったところか。
「単純に、興味があるんだよ。お前のような女は、生涯で二人と見たことが無い。聡明で、美しく、謎めいている。そんな女の過去を知りたいだけさ」
「だったら、謎めいたままで居た方が魅力的ってことじゃない?」
「意地の悪いことを言うな、お前は」
「お互い様、でしょ?」
小悪魔じみた笑みを浮かべ、響子が呟く。
なら、質問の方法を変えてみよう。
「なるほど、悪かった。じゃあ、別の質問をしていいかな?」
「どうぞ?」
余裕の笑みを浮かべた響子に、用意しておいた一番強烈な言葉をぶつける。
まさに、一か八かだ。
「じゃあ、聞かせてもらおう」
大きく息を吸い、散々にもったいぶってから、俺はゆっくりと言葉を放った。
「子供の身で、大の大人である両親を殺した方法を教えてくれないか?」
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