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「僕が守ってあげようって、そう決めてたのに。僕は結局、ママに守られてばかりで、大事なカナちゃんも守れなくて……本当に情けないよ」
もう、ママのお墓は霞んで見えない。
でも、確かにここにある。
ここで、僕を見てくれてるんだ。
「カナちゃん、ごめんね……。カナちゃんがいつもママにくっついてるから、僕寂しくて……意地悪しちゃったことあったよね?」
そして僕は、妹のカナちゃんに、伝えたい言葉を話していく。
僕はきっと、いいお兄ちゃんじゃなかった。
でも、いいお兄ちゃんになりたいって、カナちゃんを守りたいって、心から思ってたんだ。
「カナちゃん、いつも『あーうー』って、意味の分からない言葉を僕に叫んでたよね? 今思えば、あれは僕とお話がしたかったんだよね? ごめんね……これから色々お話して、おいしい物をいっぱい食べて、色々遊んで、幼稚園や学校に行って、楽しい毎日を過ごすはずだったのにね……。僕のせいで、本当にごめんね……」
もうこれ以上、言葉は出なかった。
代わりに、止まることを知らない涙が、次々と溢れ出してくる。
ずっと、ここでこうして伝えたいと思っていたこと。
それを今、確かに伝えた。
言葉は返ってこないはずなのに、こんなに辛く苦しいのなんでだろう……。
僕はただただ、湧き上がる感情のままに、うずくまるばかりだった。
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