終息への集束

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  「響子……」 俺は、おもむろにデスクの引き出しを開け、写真立てに飾られた一枚の写真を取り出す。 そこに映し出されていたのは、肩を組んで無邪気にピースサインをしている俺と響子。 初めて響子と一緒に〝仕事〟をした時に撮影した写真だ。 あの時は本当に楽しかった。 世界も、未来も、全てが手に入ると思っていた。 そして実際に、俺はこの地位を得た。 どん底から引き上げてくれた響子には、いくら感謝してもし足りない。 手に取った写真を眺めていると、まるで俺が過去の自分に戻ったような気にさせられる。 ――それほどまでに、あの瞬間が恋しいのだ。
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