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「それにしても……」
俺はメモ帳をパラパラとめくり、透の情報を確認する。
――ギフテッド。
まあ、詳しいことはさておいて、普通の子供より頭がいいらしい。
しかし、それだけで探偵と組んで復讐なんぞを画策するだろうか。
恐らく、透がここまでの頭脳を手にしたのは、先天的なものだけではない。
母を失い、自責の念に苦しみ、初めての恋をし、その初恋の相手を失い、倒すべき敵を認識し、頼もしいパートナーを得た。
ここ最近の短い期間だけで、透の周りには色々なことが起こりすぎている。
人間とは、様々な経験を通じて精神的に成長していく生き物だ。
では、もしも先天的な素質を持った少年が、短い期間のうちに大人でも体験しないような凄まじい出来事を一気に経験したとしたら?
打ちのめされた心が、復讐という確固たる目的の元に収束し、少年の中にある知識欲や過度激動が背中を押す。
その結果、凄まじい勢いで精神的な成長を遂げることも有り得るのかもしれない。
そこまで考えて、俺はハッとした。
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