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そうと決まれば、ここで考え込んでいても仕方が無い。
できれば、響子と直接会って話がしたい。
俺は携帯電話を取り出し、響子に電話をかける。
数回のコールの後、すぐに聞きなれた声が飛び込んできた。
「もしもし? どうしたの? 最近やけに連絡寄越すじゃない?」
「この暮らしもだいぶ暇になってきましたのでね……? どうです? 今夜辺り久しぶりに食事でもしませんか? あなたと初めて入ったあのレストランで」
唐突とも言える俺の問いに、暫しの沈黙が流れる。
しかし響子は、やはり俺の望んだ返事を返してくれた。
「別に構わないわよ? ただ、会うときはその鼻につく教祖口調はやめてよね?」
「……ああ、そうさせてもらおうか」
昔の口調で返す俺に、響子の微かな笑い声が聞こえる。
久しぶりに、自分に戻って楽しめそうだな。
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