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それから数分、ただただ重苦しい沈黙が続いた。
変化の無い時間は、僕から集中力を奪っていく。
研ぎ澄まされた感覚は、僕に必要以上の情報を与えてくる。
ダメだ、集中しろ。
一つのミスが、そのまま死に直結するんだ。
「――!?」
その時、目の前の景色が僅かに変わる。
エレベーターの階数表示が、どんどん下がってくるのだ。
思わず息を呑む。
ついに降りてくる。
殺し合いが始まるんだ。
ポケットに忍ばせたナイフを、強く握る。
勝てるのか、この僕に。
背筋を、汗が流れた。
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