ラスト・パーティー

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  ―◇陽明◇― 「くくっ……! 来たな。まんまと」 教団本部内の自室で、俺はモニターを見ながら溢れる笑いを堪えることが出来なかった。 今、この部屋には誰も居ない。 普段は馬鹿丁寧な教祖口調で話すことを強いられているので、一人のときについ自分の言葉で独り言を呟いてしまうのは、俺の悪い癖だ。 まあ、たまにはそういう息抜きも良いだろう。 特に、これから大仕事が控えている今のような状況ならな。 今日は、飽くまで俺がケリをつけるために、ここには最低限の人員しか配置していない。 結局、信者を使って透を亡き者にしても、それは俺の勝利ではない。 俺は、全てを捨て去って生きようと決意したのだ。 響子の敵くらい、一人で始末できなければ仕方ない。 俺はそう考えていた。
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