26人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん……？」
不意に、俺のポケットに入れてあった携帯電話が振動する。
取り出して見れば、ディスプレイには響子の名前。
俺はすぐさま通話ボタンを押した。
「もしもし、響子か。どうした？」
「ああ陽明？ 悪いんだけどさ、ちょっと用事が入っちゃって、パーティーに遅れそうなの。用が済んだらすぐに行くわ」
「なんだって!?」
そんな馬鹿な。
響子がいなければ、このパーティーは何の意味も持たないというのに！
こうしている間にも、透はどんどんこちらに近づいてくるのだ。
俺は思わず、響子に聞き返した。
「どうしても、時間通りには来れそうにないのか？」
「だから謝ってるじゃない。信者のパーティーなら、私が居なくても問題ないでしょ？」
確かに、建前上はそうなのだが……
まあ、仕方ない。
――透の亡骸を、遅れて来た響子への手土産にしよう。
最初のコメントを投稿しよう！