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そういえば、さっきの信者、僕一人で来たのに何も聞いてこなかったな……。
普通、子供が一人で来たら、親が一緒にいるかどうかくらいは聞いてくると思っていたのに、それすら無かった。
まるで、僕が一人で来ることを知っていたかのように……
――――!?
そこまで考えた瞬間、僕の中に最悪の考えが浮かんだ。
「クソッ!」
慌てて入り口の扉を開こうとするも、扉はびくとも動かない。
しまった! 完全に嵌められた!
これは、僕をおびき出す罠だったんだ!
教団が響子さんと手を組んでいることは知っていたけど、まさかこんな手を使ってくるなんて……。
ここは教団本部の中。
味方は誰もいない、出会う者は全て敵。
あまりにも絶望的な状況。
それなのに僕は――
――笑っていた。
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