決着、そして暗転

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――神経を研ぎ澄ます。 集中するは、陽明の足。 階段を駆け下りるその一歩一歩を、注意深く見つめる。 一瞬のチャンスを逃さないように。 踏みしめる足の位置、一歩踏み出すのにかかる時間……そんな細かいことまで、全て計算する。 子供が大人に勝つというのは、それほど大変なことなのだ。 ――陽明の足が、最後の段から離れる。 その瞬間を、僕は狙っていた! 「くらええっ!」 すかさず、僕はある物を放り投げる。 気付いた陽明が慌てて回避しようとするも、そもそも狙いは陽明じゃない。 落下した花瓶によって床に流れ出した、大量の水の上だ。 無理に回避しようとして体勢を崩した陽明が、水溜まりの中に転げる。 その瞬間、僕の投げたスタンガンが、陽明のすぐ側に――着水した。
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