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「えっ……?」
僕は、目の前の状況が理解できなかった。
激しい電流に襲われるはずだった陽明は、何事も無かったかのように立ち上がり、不敵な笑みを浮かべている。
その様子を見て、陽明は愉快そうに笑った。
「浅知恵だったな、ボウズ。スタンガンは電圧は高いが電流は小さいから、水を通しても感電しないんだ。知らなかっただろう?」
なんだって……!?
陽明の言葉に、僕は思わず膝をついた。
「俺がスタンガンを投げつけてから、この短時間の間に、しかもこんな切羽詰まった状況で、ここまでのことを考えたのには感心したよ。恐らく、俺でも無理だろう。素直に認めよう、お前の頭脳は既に俺を超えていた――と」
そう。
僕は陽明がスタンガンを投げつけてきた瞬間に、咄嗟に頭を働かせてこの作戦を思いついた。
今の全ての状況を考えて、たった一つの勝利への筋道を見つけたつもりだった。
しかし、僕には圧倒的に知識が足りなかった。
不意に手に入れた武器への理解が、全く足りていなかったのだ。
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