決着、そして暗転

2/19
前へ
/36ページ
次へ
「うわあああああ!」 突然右足を襲った激痛に、僕は思わず床に転げる。 傍らを見れば、スタンガンのようなものが落ちていた。 なるほど、部屋の中から僕の姿が見えたんで、これを投げ付けたのか……! 「見つけたぞ、ハッハハハ……」 不意に聞こえた、狂気に満ちた声に慌てて向き直る。 そこには、バットを振り上げた男。 思い出した! こいつ、天明教の教祖、陽明だ! 「お前を殺さないと、俺は先に進めないんだ。悪く思うなよ?」 そう言ってゆっくりと近づいてくる陽明。 僕はとりあえずスタンガンを拾い上げて陽明に向けてみるも、何の威嚇にもならない。 当然だ。スタンガンは、出来るだけ相手を傷つけずに行動不能にするためのもの。 近くで振り回すなら、僕が最初から持っているナイフの方が効率がいい。 おそらく、それを分かっていて僕に投げ付けたんだろう。 でも、僕はこのまま死ぬわけにはいかない。 僕は何とか身体を引きずり、そのまま――階段を転がり落ちた!
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加