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「あうっ!」
パシャッと、水音が響く。
花瓶の破片が、僕の腕に突き刺さる。
ついに、一階に辿り着いたのだ。
「よしっ……!」
僕は立ち上がり、わき目も振らずに走り出す。
背後からは狂ったように叫び続ける陽明の声。
ここまで来て、捕まるわけには行かないんだ!
少し離れたところまで駆け抜け、振り返る。
陽明が、階段を駆け下りてくるのが見える。
心臓が早鐘を打ち、緊張で身体が硬直する。
これが、僕に残された最後のチャンス。
――失敗するわけにはいかないんだ!
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