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「いえいえ、こちらこそ光栄ですよ。貴女ほどの人が、僕に付いて来て下さるなんて」
そう言って、茜の瞳を見つめる。
その瞬間、僅かに茜の頬が朱に染まる。
全く、分かりやすい女だ。
見た目、地位、金、そして振る舞い。
それだけで、こうも気持ちを掴むことができる。
例えそれら全てが偽りだとしても、疑うことすらしないからすぐに騙すことができる。
人間というものは、本質的に相手を信じるように出来ているのだろうか。
はたまた、この女が痛い目を見ていないだけだろうか。
まあいい、暫くの間は夢の世界を楽しませてやろう。
夢を見ている間が楽しければ楽しいほど、覚めた瞬間の絶望は大きくなるのだからな。
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