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「じゃあ、今日はわざわざ来てくれてありがとうね。家まで送るよ」
「あ、大丈夫ですよ。一人で帰れますから……」
「いいからいいから! ほら、早く車出して!」
わざとつっけんどんに響子を怒鳴りつけると、響子は憮然とした表情を浮かべ、無言で事務所を出て行く。
それを見て、俺と茜は顔を見合わせて笑い合う。
こういうタイプの女は、同性をバカにするのが大好きなのだ。
そして、その相手が美人であれば尚更だ。
響子は敢えて、その役回りを引き受けてくれたのだ。
響子を潤滑油にして、茜との距離をグンと縮める。
茜が見せる、まるで長年一緒にいた親友に向けたものであるかのような笑顔が、そのままこの作戦の成功を表していた。
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