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「まず、今回は普通に契約をして、相手の警戒心を取り除く。それが肝ね」
「そういうことだな。そういえばレッスンとかはどうするんだ?」
俺は、不意にわきあがった疑問を響子にぶつけてみる。
すると響子は、自信に満ちた声で答えた。
「簡単よ。一般向けに開放されたレッスンに滑り込ませる手配をしておいたわ。こんなの、体裁さえ整ってればどうにかなるのよ」
それは確かにそうだ。
「この作戦が成功するかは、あなたの話術にかかってるんだからね? それを忘れちゃダメよ」
「ああ、分かっている」
そう、今回響子は殆ど喋らずサポートに徹しているため、全ては俺が茜の心をつかめるかにかかっているのだ。
しかし、弱気になどなるはずも無い。
むしろ、感じているのは喜び。そして高揚感。
俺の手で、茜を地獄に突き落とす。
ワクワクしないはずがないじゃないか。
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