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「ああ、島を出たんだろうとは思っていたよ。でも、その後について何か知らないかなって」
「そんなこと聞いてどうするのさ」
大石の言葉に間髪入れず、遥香が返す。
その表情は真剣そのものだった。
「あんたが居場所を知ってどうするのって聞いてるの。『子供の頃に遊んだ者です』なんて言って押しかけるつもり? ストーカー扱いされちゃうよ、そんなの」
遥香の言葉に、思わず俯く。
まさに、その通りなのだ。
あの子の居場所を聞いてどうしたいのか、それは自分でも未だに分からない。
ただ、本能が求めている。
そういう表現こそが、正しいような気がした。
「あのさ、確かにあんたは昔、あの子と遊んでいるときが一番楽しそうだったよ。でも、もう昔のことなんだから、いい加減に忘れて、近くで嫁探しでもしたらどうだい」
「ほれ、お前の友達のさ、彩芽ちゃんと詩織ちゃんだっけか? あの子達なんかどうだ? 二人とも器量よしでいいじゃねえか。彩芽ちゃんは働いちゃいねえけど、詩織ちゃんは入島管理の仕事をしてるし……」
「入島管理?」
聞き慣れない言葉に、大石が思わず聞き返した。
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