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「それにしても……」
家を出た大石は、改めてとうもろこし畑のあった駐車場の方向を見つめる。
先ほどの両親の反応と、自分が見たおぞましい姿の少女に、関連があるような気がしてならない。
両親は、まるで自分があの少女について考えることすら禁じるような言い方だった。
そう、まるであの少女の存在を消し去りたいかのように……
――あれ?
不意に、見つめる先に違和感を覚え、目をこする。
遠くてよく見えないが、誰かが立っている気がする。
先ほどの少女ではない。
もっと大きな……大人であるような気がする。
何をしているのかは分からない。
ただ、一つの場所に立ち尽くし、なにやらフラフラと揺れているように見える。
いったいなんなのだろう、と一瞬だけ思案を巡らせるも、すぐに目を逸らして歩き出す。
きっと、落とし物でもしたのだろう。
半ば無理やりに正当な理由を頭の中で確立し、それで解決とする。
あの場所でこれ以上、異常などあってはならないのだ。
自分の輝ける思い出の場所は、ただでさえ汚されてしまっているのだから。
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