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「じゃあまず、荒井の家に行こうぜ。あいつら、お前が帰ってくるのを楽しみにしてたからな」
木村の提案に、大石が頷く。
荒井孝治に吉川佐和子。
共に気が強く、学生時代は喧嘩ばかりしていた二人。
その二人が結婚し、どのような家庭を築いているのか。
それは大石にとって非常に興味深いことだった。
「じゃ、早く行かないと! 電車出ちゃうよ」
彩芽の声に尻を叩かれ、大石達は途端に早足になる。
あまり広くもないこの島を走る一本の鉄道の名は〝ぎんなん鉄道〟通称〝ぎんてつ〟
運行本数は少なく、一時間に一本あるかないか。
フェリー乗り場に併設された駅には、すでに真っ赤な車体が近付き始めているのが見えていた。
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