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大石の家は鉄工業を営んでいる。
昔から機械と油にまみれて働く父親の姿を見てきたが、都会のスタイリッシュさに憧れていた彼にはどうもそれが泥臭いものに感じてならなかったのだ。
その時の感覚が今も彼の中に燻っていて、家業を継ぐことを躊躇させるのである。
そうでなくても、全く技術の修練をしていない自分が、今から勉強して技術を身につけるなど考えただけでも憂鬱なのだというのに。
しかし、家に帰れば間違いなくその話は持ちかけられる。
わざと考えるのを避けていた現実が、頭の中でここぞとばかりに暴れまわる。
少し気分転換がしたい。
そう思った大石の脳裏に浮かんだ光景は、やはり思い出の眠るトウモロコシ畑だった。
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