向けられた疑惑

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「詩織、詩織ーっ!」 「嘘よね!? 詩織が殺されたなんて嘘よね!?」 分厚い鉄の扉の向こうから、若い男女の悲痛な叫びが聞こえてくる。 それと同時に、一人の警官が笹見に駆け寄ってきた。 「笹見警部、昨日被害者と一緒にいたという友人達が来ました。どうしましょうか?」 「そうか、一応話が聞きたいな。少し待たせておけ」 「はっ!」 笹見の命で、警官が走り去っていく。 それを待っていたかのように、笹見と共にいた刑事が報告を再開した。 「侵入方法は扉に大きな穴を開けてサムターン式の鍵を回すという大胆な方法です。一般的なサムターン回しの手口に比べて、穴の大きさや形状が異常です。また、部屋の隅から携帯電話が発見されました。中身は現在、調査中です。そして、もう一つ異常なことが……」 「なんだ?」 「この部屋に置いてあったパソコンが操作された形跡があるんです。しかも、被害者が死亡した後と思しき時間に……」 「なんだって?」 あまりに思いがけぬ事実に、笹見が思わず大きな声をあげた。
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