向けられた疑惑

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「おいおい、どういうことだ。犯人は伊藤詩織を殺害した後に、悠長にパソコンをいじっていたってわけか?」 「はい。しかも、ご丁寧にキーボードには伊藤詩織のものではない指紋が残されています。おそらく犯人のものに間違いないかと」 「指紋を残しても捕まらない自信があるってことか。なめられたもんだな、俺達もよ」 そう言って、笹見が唇を噛む。 「ちなみに、パソコンにはインターネットに接続した形跡がありました。アクセスしたのは、この島の入出島者管理サーバー。調べてみると、昨日分の入島者名簿がごっそり消去されていたようです」 「入島者名簿だあ? だとすると、犯人は昨日この島にやってきて、なおかつ自分が来たことを知られたくねえ人物だってことか?」 「その可能性が高いと思いますね。とりあえず、今は以上です。また何か分かりましたら報告します」 「おう。じゃあ、先に来客から話を聞くとするか。行くぞ、中川」 「はい、笹見警部」 中川と呼ばれた部下の頭を小突き、笹見がゆっくりと、大石達の待つ玄関へ向かった。
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