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「よお、あんた達か。昨日被害者と最後に会ったってのは」
白髪混じりの頭を掻きながら、笹見が玄関の外に待機していた大石達に話しかける。
詩織殺害の報を聞き、昨日集まっていた面々は皆ここに集結している。
警察にとっては、やりやすい展開だった。
「申し遅れました、私はK県警警部補の中川秀一。こちらが、警部の……」
「笹見健吾だ」
中川の言葉を遮り、笹見が憮然とした様子で自己紹介をした。
「そ、それより……本当なんですか!? 詩織が殺されたって……」
まるで食って掛かるような佐和子の言葉に、笹見が表情一つ変えずに答えた。
「ああ、本当だよ。何者かに首の骨をへし折られてお陀仏だ。まだ遺体を見せるわけにはいかねえが、若いのにこんな殺され方で人生の幕を閉じちまうなんて、可哀想なこった」
「そんな……いやああああああ! 詩織、詩織――っ!」
佐和子が突っ伏して泣きじゃくる。
そんな様子を、笹見は冷めた瞳で見つめていた。
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